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紅葉狩

Shinya

紅葉狩/もみじ/楓/カウンセリングオフィスフロローグのコラム

 今年の夏は例年にないほどの暑さが続き、いつまでも夏が終わらないのでは?と思うほどでしたが、10月に入り、さすがに秋の気配が感じられるようになってきました。
 秋というと、「食欲の秋」「スポーツの秋」「読書の秋」「芸術の秋」などなど、「○○の秋」というフレーズがいくつも浮かんできます。過ごしやすい気候になり、収穫の時季を迎えることもあり、さまざまな活動に意欲が湧いてくる季節ということであるのかもしれません。

 そして、日本の秋といえば紅葉を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。秋も深まる頃には、各地の紅葉の名所を訪ねて「紅葉狩」に出掛ける方もいらっしゃることでしょう。
 ところで、「紅葉狩」はなぜ「狩り」というのでしょうか?「狩り」というと、まず「狩猟」を連想しますが、辞書などで調べてみると、「山野で植物を鑑賞・採集すること」という意味も含まれているようです。普段の移動は牛車で、歩くことがほとんどなかったと言われる平安貴族たちが、紅葉などを見たり、きのこを採集したりするために山へ歩いて行くことをそのように表現したことが初めだと言われています。
 また一説には、信州地方に伝わっている「鬼女紅葉伝説」があり、戸隠山に住んでいた紅葉という名の鬼女を都から派遣された平維盛が退治したという逸話から、「紅葉狩」という言葉が生まれたとも言われているようです。
 この平維盛による鬼退治の物語は、能や歌舞伎の「紅葉狩」として作品化されており、とても人気の演目となっています。歌舞伎の演目は、能を基にして作られたということで、大まかなあらすじはどちらも共通しています。

 鹿狩りのために戸隠山を訪れた平維盛は、山中で紅葉狩の酒宴をしている美しい女性の一行に出会います。断り切れずに一緒にお酒を飲むこととなった維盛ですが、つい気を許してしまい、したたかに酔って寝入ってしまいました。そこへ、正体を現した鬼が襲いかかります。その時、維盛の夢の中に山の神様が現れて危機を告げ、神剣を授けます。維盛はその神剣を使って勇敢に立ち向かい、ついには鬼を退治するのでした。

 能(観世流)では、小書(こがき)という特別演出がついていない場合、後半に現れる鬼は男の姿で現れるため、「鬼女」というイメージとは異なって見えるかもしれませんが、「鬼揃」という小書がつくと、般若の面と女性の装束を付けた複数の鬼が登場し、恐ろしくも、華やかな舞台となります。能の「紅葉狩」は、前半の美しい女性たちによる酒宴の場面と後半の激しい戦いの場面との対比も大きく、見どころの多い、初心者にも親しみやすい演目と言われています。
 「芸術の秋」ということもあり、舞台での紅葉狩を楽しむのも秋の過ごし方のひとつであるかもしれません。

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