ミロに倣う心の表現

先日、芸術家ジュアン・ミロの回顧展に行く機会がありました。ミロは、シュルレアリスムを土台にしつつ、独自の世界観と技法で絵画、陶芸、彫刻を手がけたことで知られています。初期から晩年までの傑作が一同に集められた、大変見応えのある展示でした。
ミロは、1893年にバルセロナに生まれました。画家になることを父に反対されて、最初は会計の仕事に就くも画家になる夢が諦めきれず、美術学校で学んで芸術家になった人物です。
有機物の大事と思うところは残し、あとは削ぎ落として符号化し、緻密にデッサンして構成して色をのせる。ミロの作品は、人を和ませるようなユーモラスなところと、既存概念にとらわれない自由さ、それに、音が聞こえてくるような作風で、一瞬で惹きつけられます。
特に目を見張ったのは、「オランダの室内Ⅰ」という絵画でした。細部にわたり写実的な技法で描かれた絵に魅了されたミロが、その絵をミロの発想により捉え直し、大きさ、位置、形状、色に至る全てを再構成して描いた作品です。
オマージュした絵と見比べてみると、同じものを見ても、描き手によってこんなにも表現が変わるものなのかと感心させられました。
何を大事にし、何を表現したいのか・・・、自由な発想で表現する。
心理療法の一種には、言葉で話す以外に、絵画や粘土や箱庭などの創作を通じて、思考や感情を表現することを目的としたアートセラピー(芸術療法)という方法があり、FROLOGでも体験していただいております。。
言葉では表現しにくいことでも、創作を通してなら心のままに表現できることもあると言う思いで受け止めております。
芸術作品を見て作り手の気持ちや無意識のメッセージを想像することは、自分の心を自由にすることにもつながると思います。
暑い夏は、これからが本番です。
皆さまも、心の解放と涼しさを求めて、美術館に行かれてみてはいかがでしょう。